うさぎ 絵本の思い出 うさぎ


絵本と子供たちの懐かしい思い出をはじめ、 心に残っていることを思いつくままに書いてみました。 笑いと涙でいっぱいの思い出です。 ウチの子供達の成長記録ではありますが、 子育て真っ最中の皆さんのお役に立てれば…と願っております。


 ぼくにも赤いらいおんがいたらなぁ…
 ピーターが好き



ぼくにも赤いライオンがいたらなぁ…  息子4歳の思い出


『ラチとらいおん』
マレーヌ・ベロニカ ぶん・え
とくなが やすもと やく
(福音館書店)

 息子は絵本「ラチとらいおん」の主人公の少年ラチと同じように、絵本が 好きで、将来はパイロットになりたいと思っている男の子でした。 そしてもう一つ、息子にはラチと同じような悩みがありました。

 息子はラチのように弱虫ではありませんでしたが、力の強いお友達を 怖がっていました。幼稚園の登園拒否など、息子なりに深刻な問題となって いました。(息子の心はひどく傷ついていたのです。)その息子が、 悲しみから勇気を持って立ち上がり、再び明るさを取り戻すことになった きっかけは、この「ラチとらいおん」という作品でした。わたしは、 息子はこの絵本から、励ましと勇気を感じ取ったのだと信じています。

 夏休み、息子は幼稚園に登園する必要がなくなり、すっかり安心したように 毎日を過ごしていました。本好きの息子は、毎日たくさんの絵本を読んでいましたが、 なぜかお決まりの一冊だけを繰り返し読んでいました。 (*息子は、この頃すでにひとり読みしていました。) それが、この「ラチとらいおん」でした。ライオンが最後にラチに送る お別れの手紙を、何度も声に出して読み、すすり泣いていました。 肩を揺らしながら泣いている息子をそっと陰で見守りながら、わたしは辛く、 切ない思いがしたものした。後ろからしっかりと抱きしめてやりたいと 思いながらも、わたしにはただ見守っていることしかできませんでした。 わたしは、息子が確かに自分で乗り越えようとしているということを感じました。 息子は毎日、別の部屋で一人きりになって、何度も(特に同じ部分を)繰り返し 読んでは、泣いていました。

 そして二週間・・・息子は強くなりました!明るさを取り戻し、 すっかり元気になりました。わたしは、これを奇跡だと思いました。そして、 本は確かに子どもの心を育ててくれるということを、その経験から 知ることができました。

ラチくんへ

きみは、らいおんとおなじくらいつよくなったね。もう、ぼくがいなくても だいじょうぶだよ。
ぼくはこれからよわむしのこどものところへいって、 つよいこどもにしてやらなくちゃならないんだ。
ぼくをいつまでもわすれないでくれたまえ。
ぼくも、きみのことはわすれないよ。
じゃ、さよなら

らいおんより

「ラチとらいおん」(福音館書店)より







ピーターが好き  息子4歳の思い出


『ピーターとおおかみ』
プロコフィエフ作 ハワード絵
小倉 朗 訳  (岩波書店)

 幼稚園の年少組の頃、息子は『ピーターとおおかみ』(岩波書店)という絵本が 好きでした。 この絵本は、版画で描かれているのでしょうか?カラーのページはいくらかはありますが、 モノクロページが多くなっています。一見地味なこの絵本を、息子はたいそう気に入って いました。少年ピーターが、勇敢におおかみに立ち向かい、勝利をつかむという このお話に、勇気や希望などを感じたのでしょう。

 息子とこの本との出会いは図書館でした。「ピーターとおおかみ」を、 また読みたいと言っては、何度も図書館へ通いました。せっかく 借りようとして行ったのに、すでに借し出されていて、残念に思いながら 帰ってきたこともありました。それでも、わたしたちはリクエストはしないで、 「また、来てみようね。」と、次回への楽しみにして帰ったものでした。それくらい 息子は、この絵本が好きでした。そして、何度も読むうちにぜひ我が家の本棚にも、 この本を一冊欲しいと思うようになりました。息子がこの本を気に入っているという 気持ちがわたしにもわかったからです。心に残る一冊は、ぜひ家の本棚に 置いておきたいと思いました。そして、息子がこの本を気に入っていること をお伝えしたかったことと、図書目録を手に入れたかったことから、わたしは岩波 書店さんに葉書を書きました。…返信を待つこと数週間…、なんと残念なことに この絵本は「絶版」だったのです。これには、息子もわたしも大変ショックでした。

 ところがそれから約一年後、『ピーターとおおかみ』は、みごと「復刊」しました! このニュースを新聞で見たときには、わたしたち母子は 躍り上がって喜んでしまったほどでした。(わたしの住んでいる地域で は、月の最終土曜日の夕刊の1面に、岩波さんの新刊の案内が載って います。)記事には「読者からのリクエストに答えて復刊…」と書かれていました。 それを見て、すばらしいと思う作品に会った時は、出版社さんに感想葉書を お書きすることは大切…と感じました。良い本を残していこうとすることは、 わたしたち一人一人にもできることなのですね。このすばらしい絵本を出版して くださっている岩波書店さんに、心から感謝とお礼を申し上げます。